The 4-way joint solution
ガスタービンにおける漏洩は、強制停止や重要機器の損傷だけでなく、重要な安全上の問題も引き起こす可能性があります。ノルトロックグループでは、複数の製品と技術を組み合わせることで、501Fガスタービンの4方向継手における漏洩の解決策を考案しました。
ガスタービンにおける4方向継手の漏洩は、通常、極端な熱変動や始動によってタービンシリンダーの曲がりや歪みを引き起こし、時間の経過とともに発生します。シリンダーのミスアライメントが問題をより悪化させます。フランジの表面が密閉に必要な最大接触面を保持できず、漏れが発生するのです。
漏洩はタービンの計測装置や絶縁材に大きなダメージを与え、稼働と現場の安全を危険にさらす恐れがあります。近年ノルトロックグループは、20年以上このような漏洩を経験してきた501Fガスタービンのオーナー企業とパートナーシップを結びました。適切な解決策を見つけ出すため共同研究開発プロジェクトを行っています。
恒久的なソリューションの必要性
「これまでの修理方法は、一時的なものであったり、 漏れを止めるというよりも漏れを封じ込めるというものでした。」と、ノルトロックグループの発電部門ビジネス開発マネジャーのジェレミー・ヘルソムは言います。
封じ込める一般的な方法は漏洩部への溶接です。しかし、漏洩を止められないだけでなく、運転停止中に取り外しと再設置が必要となるため、運転停止スケジュールに時間とコストがかかります。
「これまでの修理方法では、漏洩問題を解決するために一つの原因に焦点を当てる傾向がありました。」「それに対し弊社のソリューションは、製品ラインナップから複数の製品と技術を組み合わせて、漏れの原因となる複数の要因に対処します。」
プロジェクト中、ノルトロックグループの発電専門家は、タービン内へ自由に立ち入ることができたため、シリンダーの構成や漏洩の原因を調査することができました。
「501Fガスタービンに自由に立ち入れたことは、 漏洩の複数の要因を診断する上で非常に重要でした。」とヘルソムは続けます。
「これは長い時間をかけて、複数の解決策が開発され、試験によって得られた結果です。」
独創的な技術の組み合わせ
包括的な試験の結果、最も効果的なソリューションは、ノルトロックグループの複数の製品と技術を組み合わせることでした。まず、ボルタイト油圧クロージャー・システム(HCS)を使って、シリンダーのアライメントと4方向の継手の張力を素早く一時的に確認します。シリンダーがHCSによって締め付けられた後、ボルト穴やフランジがまだずれている場合、カムアライン・テンショナーシステムでシリンダーを再調整します。これにより、内部の隙間を2-4ミリ縮めることができ、隙間を最小限にします。
HCSが加圧され、タービンシリンダーが4方向継手の周囲で同時に均等に締め付けられると、その部分が隔離されます。複数の油圧テンショナーが圧力を維持しながら、内側および外側の隙間の測定値が記録され、シリンダーのアライメントが確認されます。
これらの調整が完了し、4方向の継手が正しくアライメントされると、HCSで継手を再び締め付けます。これによりスーパーボルトに荷重が伝わり、継手が恒久的な張力を持つようになります。一つずつボルトを締める場合は継手にズレが起こる可能性がありますが、HCSで継手全体を固定することで締め付け作業の安定性を維持できるようになります。
最後に燃焼室シリンダーとタービン部分が接触する部分の保護層として内側シールが取り付けられます。これにより、シリンダーの再調整などによって防げなかった漏れを解消することができます。
市場で最高のソリューション
スーパーボルト、油圧クロージャー・システム (HCS)、アライメントテンショナーを含む、ノルトロックグループのソリューションの組み合わせは、フリート所有企業のオペレーションで試行錯誤され、4方向継手の漏洩防止に効果的なことが実証されました。計測装置や絶縁材の破損による強制停止は一切発生しておらず、 タービン車室内でより安全な作業環境が提供することができました。
タービンフリートの所有企業から、「現在市場で、4方向継手の漏洩に対しベストな解決策」というご意見を頂きました。
今回のこのソリューションは、501Fのフリート所有企業とそれぞれのタービンに特化していますが、これによって得られた知識と経験は、ノルトロックグループの今後の展開において貴重なものなるでしょう。
「タービンの原理は共通しています。ホイールやローターが回転し動力を生み出すのです。」とノルトロックグループの地域営業ディレクターのピーター・ミランダは説明します。「発電専門家たちが学んだ教訓は、 私たちの専門知識を高め、同様の漏洩問題を解決するために応用することができます。」