EDF水力発電所とスーパーボルトツール ボルトメンテナンスの大きな可能性
EDF社の中で最も生産性の高い水力発電所では、重要性の高いタービンの締め付けに、250個以上のジャックボルトを使用する。そのため、メンテナンスチームは、作業の負担を軽減するためのツールを探していた。
EUの再生可能エネルギー生産において大きな力を発揮
Our World In Dataによると、2020年に水力発電は、世界的に最大の再生可能エネルギー源であった。 Réseau de Transportd'Électricitéの2021年の電力バランスシートによると、フランスにおいて、水力発電所で62.5TWh、またはフランス首都圏の生産量の12%の電力を生み出していた。 EDFは、欧州連合における水力発電のリーディングカンパニーである。
その最大の施設の一つが、フランス・サヴォワの タランテーズ渓谷の入り口、北アルプスに位置する水力発電所EDFド・ラ・コシュだ。ラ・コシュは、フランスにある六つの主要な揚水発電所の一つで、フランス国内の水力発電の3分の1を生産している。
開発の最高地点には、28kmの水路が流れるダム「ラ・コシュ水域」があり、ラ・コシュの発電に利用される潜在エネルギーを蓄えている。これは盆地と地下発電所の標高差が900mもある、いわゆる「ハイフォール」開発である。 水頭と呼ばれているこの高さが、毎秒40立方メートルの流量を生み出し、導水管から5基のタービン ユ ニ ット に 水 を 送 り 込 ん で い る 。
このうち4基のタービンは可逆式で、需要の少ない時期に下部の貯水池(エグブランシュダム)の残水をポンプアップして盆地に戻し、大きなバッテリーを作り出すかのように潜在エネルギーを再利用することができるのだ。
「ピーク時に電力が必要なとき、その水を利用してフランスの居住者向けに電気を作ることができます。 ラ・コシュでは、27万人分の年間消費量を生産しています」と、EDFのラ・コシュ・ランデンス 工場グループの部長ブノワ・ペズー氏は言う。
15トンのペルトン水車のメンテナンス
5号機は他の4基のフランシスタービンと異なり、非可逆式のG5ペルトンホイールだ。 ラ・コシュの開発に新たに加わったこのタービンは、冬の雪解け時にアルプスの水路網を通じて流入する水が多い場合に、特に有効なワンウェイタービンである。
直径3.6メートル、重量15トンのペルトンホイールは、生産の中心であり、フランスにおけるEDFの最も強力な水力発電装置だ。しかし、摩耗に強いコーティングが施されているとはいえ、ホイールを回転させるために土砂を含んだ水を5つのインジェクターから時速約500kmで噴射するため、ほぼ1年に1回の交換が必要だ。
ダヴィッド・エノー氏はEDFのメカニカル・インターベンションチームのファーストラインマネジャーで、彼のチームはEDFグループ全体のユニットの迅速なメンテナンスと稼働率の最適化を任務としている。
「ラ・コシュのG5ペルトン発電機のホイール交換作業では、M125のスーパーボルト18個を高さ1.8mの天井の下で緩める必 要 が あ り ま す 」と エ ノ ー 氏 は 言 う 。
水力発電タービンのメンテナンスの最適化
ボルト締結の数 が多く、複数のジャックボルトを締めたり外したりするための作業スペースが限られているため、エノー氏のチームはこの作業のメンテナンス時間と人間工学を最適化するツー ル を 探 し て い た 。
ビジネスプリパレーションマネジャーでエナー 氏 の 同 僚 の ジャン・クリストフ・ベット氏は、BOLTEDマガジンの過去の記事を読んでいた時にスーパーボルトツールの存在を知った。「ノルトロックグループの担当者から、スーパーボルトツールが確かに我々の使用用途に適していると説明を受けた」 と、彼は言う。
そ の 後 、ラ ・ コ シ ュ の ボ ー ル バ ル ブ で ス ーパ ー ボ ル ト ツ ー ル を テ ス ト し た 結 果 、チ ームが求めていた人間工学的な品質と導入の速さを備えていることを確信し、G5ペルトンホイールのための専用ツーリング の 開 発 を 進 め る こ と に し た 。
スーパーボルトツールで締め付けを最大3倍速化
ス ー パ ー ボ ル ト ツ ー ル は 、例 え ば E D F ペルトン水車のナットサイズに特化したドライブ ユ ニットと カ セット を 含 む プ ロ ジェクトベースのモジュール製造である。 使用時には、小さなトルク入力を大きく均一なトルク出力に増幅し、全てのジャックボルトを同時に正確かつ均等な軸力で締め付け る こ と が 可 能 だ 。
「ジャックボルトの単一締めでは、全てのスーパーボルトに対して約1,000回のストロークが必要でしたが、同時締めを行うことで、均一な軸力を確保し、時間を大幅に短縮 す る こ と が で き ま す 」と ベ ッ ト 氏は 言 う 。
ラ・コシュのペルトン水車はM125のスーパーボルト18個で固定されているため、以前は250個以上の個別のジャックボルトを手作業で締め付けていた。
EDFの上級メンテナンス技術者であるアル ビ ン・ パ ル エ ロ 氏 は 、ス ー パ ー ボ ル ト ツールを採用してからの定期メンテナンスの様子を楽しそうに語る。
「 と て も 良 い 経 験 で す 。 ス ー パ ーボルトツールの使用前と使用 後を比較すると、本当に時間 が大幅に短縮されているのが分かります。このツーリングのおかげで簡単になりました」
「全てを同時に締め付けることで、メンテナンス時間を容易に3分の2に削減することができます。」とベット氏は付け加える。「ペルトン水車の下で人間工学的に作業し、作業時間を短縮するためのツールを得たのです」とエノー氏は話しを締めくくった 。