ランドマーク となる橋の 建設
スウェーデン第二の都市ヨーテボリでは、新 しく完成したヒジングス橋（垂直昇開橋）が、 船舶の通過を可能にしながらもゴータ川の北 南の両岸を繋いでいます。この橋の設計と機 能性には、並外れた細心の注意が払われ、そ の結果、使われた部品の合計よりも大きな意 味を得ることに成功しました。
2021年5月、スウェーデンのヨーテボリにあるヒジングス橋が開 通し、ゴータ川対岸同士の往来が可能になりました。最初に、車 輛、バス、自転車、歩行者用の道路が開通し、路面電車の線路 は、その後夏に完成しました。
ヨーテボリの交通と公共輸送機関によって開始されたこのプロ ジェクトは、2009年に設計が開始され、2016年に建設が始まり ました。 信頼性と実績のある技術の使用は、リフトスパンとそ の機械の仕様において不可欠な要件でした。入札ではスカン スカとMTホイゴー の合弁事業が勝ち取り、プロジェクトを運 営することになりました。
2013年のデザインコンペにおいて、跳開橋、旋開橋、昇開橋な ど様々な種類の可動橋の提案があったものの、コンペで採用さ れたのは建築会社とプロジェクト設計者の共同企業体によって 設計されたアルペジオという昇開橋でした。審査では、実行可 能性、開発、機能性が重視されました。
完成する橋は、ヨーテボリの個性と景観と調和し、 歴史的建造物としてヨーテボリの新たなシンボル となります。
アルペジオの設計は、堅牢なつくりで、頑丈な寸法と実績の ある技術的ソリューションが備わっています。都市のスポーツ やボートの活気に満ちた環境に貢献する橋下の開水域も、プ ラスの要因となりました。
多くの提案の中から適切なものを選択
ヒジングス橋は、中央リフトスパンが4つの鉄塔(パイロン)によ って支持されています。船舶が通過する際には、28メートルま で上昇する全長440メートルの昇開橋であり、昇降後はリフト スパンの路面電車の線路が車道上の線路にピッタリ合うよう に正確な精度で12メートルの水平面へと戻る必要があります
スウェーデンの建設エンジニアであるELU社は、鉄塔と車道 の設計を担当し、リフトスパンの機械設計はティカブストラク チャーメカニック社に依頼をしました。機械設計エンジニアで ネットワーク管理者のピーター・ラスフォルク氏が、チームメン バーと共に設計を担当しました。
ラスフォルク氏はヒジングス橋の建設 が大変要求の厳しいプロジェクトだったと 振り返ります。
「最大の課題は、制限のある空間 に適合する機械を開発すること でした。大変複雑な作業であっ たため、適切なものに決定する までに多くの解決方法を精査し ました。」
複雑なシステムのリフトスパン
重量800トン・幅37メートルのリフトスパン を迅速に垂直方向に昇降させなければな りません。リフトスパンは、各コーナー4本 づつ合計16本のケーブルに固定されてい ます。各ケーブルは、鉄塔(パイロン)最上 部のケーブルホイールへと上昇し、カウン ターウェイトへと下降します。また、4本の 細いケーブルがカウンターウェイトを引く 機械に接続されています。
リフトスパンの上昇時、実際にはカウン ターウェイトが引き下げられています。リ フトスパンが下がっている時には、リフト スパンの重量はリフトスパンを下降した状 態に維持するように吊り上げ力が除去さ れます。各鉄塔(パイロン)には、リフトス パンを引き下げるジャックを通した2つの 大型フックがあり、吊り上げ力を除去しま
す。このフックには、エクスパンダー・シス テムが取り付けられています。
上述の通り、ティカブ社が設計を担当し、 機械の製造はSHグループが担当し、テス トしました。ティカブ社は、エクスパンダー・ システムの使用を提案し、SHグループは、 その提案が最適な解決方法であると同意。 エクスパンダー・システムは、中央のピン、 既存の土台に直接取り付けられる2つの エクスパ ンションスリーブという3つの主 要部品から構成される可動部の摩耗に対 するソリューションです。側面から締結体 を締め付ける際、エクスパンションスリー ブは、ピンのテーパー加工された先端部 を押し上げ、拡張し、土台に適合します。
信頼性と長い耐用年数
「超大型の特別仕様で作られたエクスパン ダー軸を使用しています。」とラスフォルク 氏が説明します。
「組み立ての円滑化は大きな利点で す。狭い空間に大型の構成要素を設 置する必要があり、エクスパンダー・ システムを使用することにより、組 み立ての工程が円滑になります。」
エクスパンダー・システムの使用は、保守 を最小限に抑える一方で、耐用年数を向 上させます。通常、軸のずれは可動部の 摩耗を引き起こし、時間の経過と共に穴 を楕円形にし、遊びを増加させます。
「エクスパンダー・システムを使用した 合、 その遊びを排除することができます。」と ノルトロックグループのデンマーク、スウ ェーデンのカントリーマネジャーであるブ リアン・トレストは「ピンは、貫通させるた めに穴よりも小さくなければなりません。 しかしながら、エクスパンションスリーブ は、穴径とピン径の差を調整します。」と 話します。
代替製品よりも高い耐久性
側面のボルトやナットを締め付けると、エ クスパンションスリーブは穴内へと押され、 そこでアウターコーンでシャフト表面へと、 インナーコーンでスリーブ内へと拡張しま す。「その後、確実に適合するため、あら ゆる問題を引き起こさずに、代替製品よ りも長持ちします。」とトレストは言います。
ティカブ社の機械設計担当のラスフォル ク氏は、長年にわたり複数の設計にエク スパンダー・システムを使用してきました。 「ヒジングス橋のプロジェクトにエクスパ ンダーを選択することは自然なことでした。 明確に高品質な製品を使用したいと考え ています。」と彼は締めくくります。
