原子力の安全を守るトリプル・プロテクト
ダヘル・ニュークリア・テクノロジーズ社は、ドイツのフランクフルト・アム・マインにほど近いハナウという町にあり、放射性物質の運搬用コンテナを開発している企業です。当然ながら、最高レベルの安全性が必要です。
課題
UF6 と表記される六フッ化ウランの運搬用コンテナの新規設計を行っていた時、同社は国際原子力機関(IAEA)の道路・海上・鉄道輸送に関する勧告を含めた国内外での極めて厳格な規制に対応する必要がありました。コンテナがこれらの規制に対応するには、例え輸送中に事故に遭ってもその衝撃、圧力、熱等に耐えるものでなくてはなりません。
事故によって発生し得る負荷は、120 センチの高さからの落下、9 メートル落下、そして先の尖った地面への 1 メートル落下を含む一連の試験によって定義されます。それでもコンテナは、次に受ける耐熱試験で火炎に脅かされることのないよう完全に密封されていなければならないという、厳格極まる試験に合格する必要があるのです。
ソリューション
ダヘル社はボルトが一切、緩み・脱落を起こさない設計を実現すべく動き出しました。同社はここに高い優先度を付け集中的に研究を行い、 254SMO 製のウェッジロックワッシャーであるノルトロックに辿り着きます。今 NL16ss-254 の品番が付いたこの製品は、ダヘル社のトリプル・プロテクト・ロック構造において不可欠なパーツとなっています。1 本のボルトがパーツを固定し、またそのボルトは別のボルトによって固定され、ノルトロックワッシャーはその 2 本目のボルトを固定するのに用いられます。各コンテナにはこの方式で固定される 6 つの締結箇所があり、全てにノルトロックワッシャーが取り付けられます。
結果
ノルトロックのウェッジロッキング機構によって、ダヘル社の原子力産業用輸送コンテナのボルト締結は、振動や荷重に晒されても一切の緩みとは無縁のものとなりました。同社にとっては、緩み対策にノルトロックワッシャーを用いることで複雑な設計変更を行うより遥かにコストを抑えられたことと、誰でも簡単にメンテナンス作業を行えることも大きなメリットとなりました。必要なら、ノルトロックワッシャーはいつでも取り外してコンテナの状態が万全かどうか確認できるのです。同社の新型コンテナの寿命は 30 年と設定されています。それは同時に、ノルトロックワッシャーが 30 年に渡ってこのコンテナを十分に支え続けられることがお客様に認められたことをも意味しています。