The Experts:ノルトロックウェッジロックワッシャー を塗装面に使用できますか?
様々な産業におけるアプリケーションに関し、塗装面を持つ部品がある場合のボルト締結部の固定に関する質問をよくお受けします。答えは使用するコーティングの種類と適用方 法によって異なりますが、一般的には解決すべき実際の課題がいくつか存在します。
最も一般的な問題は、経年的な塗膜のなじみやゆるみによる軸力の低下、あるいは組み立て時の摩耗や塗装面の損傷による腐食の問題です。従来の締結方法では、ボルト締結体を
締めたり緩めたりする際に生じる回転によってコーティングが損傷してしまうことがありました。
業界によってコーティングの基準は異なりますが、最も要求の厳しい用途や厚みのある塗装は、オイル&ガス、風力発電所、太陽光発電所または船舶などのオフショア産業で多くみられます。このような場合においては、費用対効果の高い方法で鉄製の構造物を維持し、厳しい海洋環境での腐食から保護しなくてはなりません。
こういった産業では、アルミニウムや亜鉛を含む「活性」コーティングが多く使用されています。これらの元素は、電気セルの中で陽極として作用することにより、鋼構造物の腐食に対して化学的耐性をもたらします。他の非活性コーティングは、腐食要素から構造物を守るために不可入性の層を作りますが、このコーティングが壊れると、主材である鋼は露出し、露出箇所から腐食が始まります。
ボルト締結体は、ボルト、ナット、そしておそらくワッシャーの回転を作り出して組み立てます。この回転が、塗装面の損傷の原因となります。これらの部品の回転挙動は、コーティングへの影響も左右するため、ノルトロックグループではこの分野でより多くのことを学ぶために、様々なボルト締結方法のテストを実施しています。
ワッシャー無しの場合
無しでボルトを組み立てると、ボルトと塗装面の間に直接回転が集中するため、ボルトに軸力をかけるための高トルクが塗装を傷つけることは明らかです。
フラットワッシャー有りの場合
フラットワッシャーを追加すると、表面に対する回転が低くはなりますが、全ての回転がボルトとワッシャーの間で行われることを保証するものではありません。回転はランダムに発生するため、コーティングの損傷度合いを予測することは困難です。
ノルトロックワッシャー有りの場合
ノルトロックワッシャーは、組み立て時にアッパーワッシャーとナットの間で回転を制御するように設計されているため、塗装面を損傷なく保つことができます。
また、ノルトロックワッシャーの外面にはセレーションが施されており、クランプされた部品とボルトヘッドの下面の両方を掴み、締結体を固定します。ボルトを緩めたときに、両側のセレーションの圧痕が確認でき、ボルトの自然な緩みを防止するウェッジロック効果が確認できます。
セレーションが、組み立て時に塗装面を損うのではないかと思われるかも知れませんが、
試験結果にはポジティブな影響が証明されています。セレーションが塗装面にわずかに押し込まれるため、フラットワッシャーを使用した場合と比較し、ボルト締結体の沈下が減少し、ボルト締結部にとって望ましい軸力がより適切に維持されます。
また、ノルトロックワッシャーは振動を受けた際に、2枚のワッシャー間に動きを誘導する設計となっているため、振動時にコーティングに回転の影響を与えることはありません。また、ウェッジロック効果により、他のソリューションでは達成できない高い安全レベルの軸力を維持することができます。
ベストプラクティス
お勧めする手順:
- 部品を組み立てる
- ボルト締結部を固定する
- しっかりと締め付けた後、最後にコーティングを適用する
この作業は、締結体を上から塗装で覆い、確実で耐食性のあるボルト締結体となりますが、現場では高コストや、実用的でないなどの理由から行われない場合もあります。
弊社のテストによると、ボルトを締結する前にコーティングすると、締結方法によっては、塗膜の沈下やゆるみのために 軸力を維持できなかったり、ボルト締結の際に塗装面が損なわれ部品が腐食に晒されたりするリスクがあります。
考慮すべき点は多々ありますが、テストで得られた結果は、このようなシナリオで使用された場合、ノルトロックワッシャーを使用することで、他の方法と比較して、ボルト締結部の安全性にプラスの影響を与えるという信頼性の高い兆候を示しています。
ノルトロックグループでは、幅広タイプのノルトロックワッシャーのご使用をお勧めしています。より大きな面積に負荷が分散されるため、繊細な表面にも優しく、より均一なクランプを実現し、ある程度のなじみを防ぐことができます。