ボルト締結体において外部荷重が付加されたときに軸力と締付力には何が起きるか?

一般的に私たちは、必要な締め付け荷重を発生させるためにレンチによってボルトまたはナットにトルクを掛けています。この締め付け荷重は、軸力と呼ばれています。軸力は、締め付けられるときに締結体内で生成されるボルトの張力として定義されます。その役割は、締結体の滑りや遊離を防ぐことです。この軸力に応じた締付力が、その被締結材に作用する力です。

外部荷重(外力)が締結体に付加される際、その外力を伝達する各要素を分析していかなければなりません。

したがって、単一のボルト締結体の計算は、締結体のボルト軸と被締結材との弾性的挙動に基づいています。この弾性的挙動とは、ボルト・被締結材の変位量とボルト軸力・被締結材の締付力とが線形関係の領域での挙動となります。
ボルト締結体を締め付けると、軸力 FM が生み出され、境界面に締付荷重 FK が発生します。そのばね定数は、最初に定義される必要があります。これは、材料を 1 mm 伸長するのに必要な荷重の値です。


そして、締結体に作用する軸方向外部荷重 FA は、被締結材負担分とボルト負担分とに荷重分配されています。ボルト側に追加される作用荷重は、ボルト荷重 FSA となります。FPA は、外部使用荷重の被締結材側負担分であり、締付力の低減分となります。この配分比率は、締結体のそれぞれのばね定数に基づいています。

ボルト締結体で発生する荷重と変位量は、締付線図によって図示できます。したがって、前述の線図は、次のようになります。

前の式は、次の例で検証できます

手順 1
ボルト締結体を初期軸力5 kN まで締め付けます。まだ考慮すべき外部荷重はない状態です。

手順 2
軸力よりも小さな外部静荷重(4 kN)が、付加されます。すると、初期締付力は、残存締付力まで変化します。ボルトの軸力は、5.4 kN まで上がりますが、残存締付力は1.4 kN まで低減されます。

手順 3
初期軸力よりも大きい外部荷重が付加されると、外部荷重が軸力よりもはるかに大きいために被締結体が遊離し、ボルトの軸力は最高で 10 kN まで上昇します。(外部荷重の100%)

結論として、軸方向の外部荷重が締結部に付加されるとき、ボルト締結体の弾性的挙動を締付線図にて分析する必要があります。それに加えて、ボルト締結体には剪断力、温度、振動、変動荷重などの様々な考慮すべきの外部要因があります。そのような複雑なボルト締結に関してのご相談は、ノルトロックグループジャパンにお問い合わせください。