温度上昇に伴う機械的性質の低下
ボルト締結体へのマイナスの影響
250℃を超える温度で合金や建築用鋼材を使用すると、クリープやリラクゼーションといった現象が起こります。そのため、250℃以上の温度環境下で鉄のボルトが弾性域で締め付けられていれば、その締結体の軸力はボルトの降伏強さの下降に合わせて減少してしまいます。
温度変化が起こると、被締結材やボルト等の締結部材は膨張または収縮し、その膨張や収縮の程度は温度変化率、質量やサイズ、金属の導電性、および個々の材料の膨張係数によって様々に変化します。こうした材料間の膨張・収縮率の違いは、そのボルト締結体の軸力にも変化を生じさせます。また多くの場合、温度変化が進行している最中に、最大幅での軸力変化が発生します。
温度変化による膨張・収縮は、全ての箇所で同時に、同じ割合で発生するものではないため、熱サイクルは熱疲労にも繋がります。熱の影響を大きく受けた「熱い」部分と熱の影響が小さい「冷たい」部分の境目には、特に大きなストレスが加わり、局所疲労を引き起こすことがあるのです。しかし温度が安定し、全てのパーツの温度が均一化される場合には、同等の膨張係数をもつ材料を使用して軸力の変化を最小限に抑えるか、設計段階で温度変化による軸力変化を考慮に入れておくことが推奨されます。
上記のような問題は難しいものですが、下記のような最新の設計コードや材料選定、そして締結部の計算によって解決することができます。
- 使用温度帯での機械的性質という点で、適正な材料選定が行えているか検証し、析出物、経年、熱処理(焼き戻し、焼きなまし等)のような、金属の大幅な性質変化を避ける
- その機器の運転により生じる荷重や、温度変化が発生した際に材料間の膨張率の違いのために起こる膨張(または収縮)が過度に大きな荷重を引き起こすことが無いかを確認する
- クリープやリラクゼーションといった現象によって、どの程度の軸力損失が起こるのかを予測しておく
ノルトロックグループの経験とソリューション
ノルトロックやスーパーボルト等のノルトロックグループ製品は、極限環境においても頻繁に使用されます。お客様を製品選定、製品設計、そして締結部設計の段階でお手伝いする時には、我々は最新の設計ガイドラインに沿ってご提案を行い、安全で強固なボルト締結を実現できるようサポートしています。また、ご使用の温度と、腐食およびクリープのリスクを考慮し、お客様の材料選定に対する見解をご提出します。
次に、私たちはご使用環境の温度下における締付から、機器の運転によってその締結部に加わる(または別個に発生する)荷重までを考慮し、必要な最小軸力と最大軸力が適正なものかを確認します。計算を行う際には必要に応じて、コーティングや潤滑剤、およびドライフィルムによる効果を考慮します。また、あらゆるボルト締結部の不具合リスクを避けるため、私たちはユーザー様を設計段階からサポートしています。