【エキスパート】:スーパーボルトがもつ柔軟性
Q:スーパーボルトはボルト締結体に弾性をもたらす、と聞きました。それはどのようなメリット
があるのでしょうか?
A:一般的に、ボルト締結体に発生する不具合の原因の一つとして、最初の第1~第2ねじ山への
応力集中が挙げられます。スーパーボルトのマルチ・ジャックボルトテンショナーを使用した
締結体では、ジャックボルトを締め込んでボルトまたはスタッドが引き伸ばされる(テンショニン
グ)と、テンショナー本体は下図のように、上部が内側に挟まり、下部が外側に広がります。
この作用によって、第1~第2ねじ山への応力集中を防ぎ、負荷はねじ山全体に均等に分散されます。
最初の第1~第2ねじ山にかかる応力集中を分散させることにより、この作用から締結体の強度が
劇的に高まります。
更に、この応力の分散と、ボルト・スタッドが引き伸ばされるテンショニングが同時に発生する
ことで、締結体には一定の弾性がもたらされます。一般的なボルト締結体での締結長さは平均で
呼び径の約2~5倍ほどの長さが必要ですが、スーパーボルトは第1~第2ねじ山への応力集中を
防ぐため、締結長さを呼び径の2~3倍ほどに納めることができます。スーパーボルトは一般的な
ボルト締結体の弾性を2倍に引き上げるとも言えます。
締結体の弾性向上により、設計時に長めのボルトやスタッドを選ぶ必要がなく、スペーサー等他の
部材を追加する必要もなくなります。これはコスト面でのメリットに繋がります。更に、スーパー
ボルトが締結体にもたらす弾性は、相手材の金属なじみや塑性変形による非回転緩みに対しても
一定の効果を発揮します。これは安全性・確実性を担保する上で大きなメリットとなり得ます。