【エキスパート】 ボルト締結体の対応温度帯
Q: 締結部材の対応温度帯はどうやって決まる?
Bolt Material | Plating material | Temperature Interval | Temperature Interval | ||
Min T (oC) | Max T (oC) | Min T (oF) | Max T (oF) | ||
Carbon steel/alloyed steel | Oiled | -50 | 120 | -58 | 248 |
Carbon steel/alloyed steel | Zinc plating | -50 | 230 | -58 | 446 |
Carbon steel/alloyed steel | Cadmium | -50 | 110 | -58 | 230 |
Carbon steel/alloyed steel | Phosphate | -50 | 200 | -58 | 392 |
Carbon steel/alloyed steel | Heavy zinc | -50 | 200 | -58 | 392 |
Carbon steel/alloyed steel | Heavy phosphate | -50 | 200 | -58 | 392 |
Carbon steel/alloyed steel | Nickel | -50 | 590 | -58 | 1,094 |
Carbon steel/alloyed steel | Chromium | -50 | 650 | -58 | 1,202 |
Stainless steel | – | -120 | 320 | -248 | 608 |
Onconel | – | -250 | 650 | -418 | 1,202 |
Waspalloy | – | -250 | 870 | -418 | 1,598 |
A: ボルトには、多くの材料から作られる様々な種類が存在しています。最も一般的なものは炭素鋼、
合金鋼、そしてステンレス製のものです。使用環境が高温である場合は、インコネルやワスパロイ等
の異なる鉄・ニッケルおよびクロムの合金がベースとして使用されます。炭素鋼および合金鋼で
作られたボルトは、下は–50度から、上はめっきの温度限度の範囲までで使用することができます。
本ページの冒頭には、一般的な例を表にして記載しています。対応温度帯の上限がニッケルは590℃、
クロムは420℃から650℃までとなるため、ニッケルやクロムめっきはより高温での動作を実現する
目的で頻繁に使用されます。しかし双方とも高価であるため、ボルトには広く普及していません。
合金の組合せが多様でその用途も幅広いステンレスのボルトは、通常保護コーティングを必要とせず、
一般の炭素鋼や合金鋼よりもより広い温度帯での使用が可能です。合金の組合せによってステンレス
の対応温度帯は(一般的には)–120度から320度の間となります。
対応温度帯を超えると発生し得る問題:
1. 炭素鋼および合金鋼は–50℃以下の温度で脆化し、破損リスクが高まります
2. めっきの対応温度帯を超えると、水素脆化や耐食性低下のためボルト折損リスクが高まります
3. ボルトの強度は温度の上昇と共に低下します
4. ボルトと被締結材が異なる材料である場合、熱膨張率に差があるため軸力損失リスクが高まります
5. 高温環境下で恒常的に圧に晒されることで、クリープと呼ばれる塑性変形リスクが高まります