エキスパート: 変動荷重を受けるスタッド およびボルトの使用寿命
Q: スタッドの寿命をどのようにして延長させますか?
A: ボルト締結においてよくある不具合の一つは疲労破壊です。疲労破壊は一般的にボルト/スタッドが変動荷重に晒された場合に起こる現象であり、引張強さ(Rm)または降伏点(Re)を劣化させます。疲労の理由には以下のようなものがあります:
· ボルトに発生している軸力が受ける変動荷重よりも小さい。
· 回転緩み及び非回転緩み(なじみ現象など)により軸力が低下してしまった場合。
· ボルト締結の弾性力不足。
疲労破壊を避けるためには、外力(変動荷重)に十分耐えうるようボルトに軸力を発生させる事が大切です。しかしながら、軸力が高過ぎて、降伏点または最少引張強さを超えてしまい、ボルトの寿命を短くする可能性がありますので、ボルト締結においては、軸力をうまくコントロールする事が重要です。弾性力の向上は、スタッドの使用寿命を伸ばす事ができ、その事は“長く・細い”ボルト締結の方が“短く・太い”ボルト締結より弾性力が高くなることでも知られています。
参考として、ボルトの締結長さは、少なくともボルト呼び径の3倍以上の長さが必要だが、できれば5倍以上であることが望ましいです。小径から中径サイズのボルトには、ノルトロックワッシャーが緩み止めを行い安全レベルを向上し、結果コストも削減できるソリューションです。ノルトロックワッシャーは摩擦に依存しない緩み止め製品ですので、ボルトに潤滑油を使用できます。目標軸力をバラつきを少なく、出す事が可能になり、厳しい振動や変動荷重に晒された場合にも、締結力を確実に維持することができます。
太径サイズのボルト締結には、スーパーボルト・マルチジャックボルト・テンショナー(MJT)が最適なソリューションです。スーパーボルトでの締結は、確実な軸力を簡単に発生させる事ができ、ボルト呼び径の2から3倍のボルトを使用しているのと同等の弾性力を持ち合わせます。